SHIGOIGA委員会

仕事<趣味の30代男性。本の話題を中心に、書きたいことを自由に書いていきます。

作家志望者は必読「超・戦略的作家デビューマニュアル」(五十嵐貴久著)

 

 

小説家になりたい!

新人賞に投稿を繰り返しているけれど、なかなか結果が出ない……。

という僕のような人は必読の一冊です。

 

 

 

 作家になるのは簡単だ!

自らも作家として活躍されている五十嵐さんが、「面白い小説を書く」などという漠然とした目標ではなく、「作家になる=新人賞を取る」という具体的な目標を設定して、そのための方法論を教えてくれます。

本書は二つの章に分かれていて、2章で新人賞を受賞するための方法について述べているのですが、それよりも強調したいのは、1章のタイトルが凄いということ。

それが、「作家になるのは簡単だ」。

嘘つけ! と怒鳴りたくなるのをこらえて読み進めてみると、そこに書かれていたのは身もふたもない事実。

それは、小説が読まれなくなり、作家が魅力的な仕事ではなくなってしまった、という現状です。

 

小説が売れなくなっている事実を、世間が知ってしまった

          ↓

書き手(クリエイター)にとって、魅力を感じられないエンターテインメントの一分野となってしまった

          ↓

だから才能ある書き手が他分野に流出してしまう

          ↓

当然、面白い小説の書き手が少なくなる

          ↓

面白くない小説なんて、誰も買わないし読まない

          ↓

ますます才能ある書き手が参入しなくなってしまった

          ↓

悪循環は続くよ、どこまでも

 

新人賞が多数ある一方で、肝心の小説が売れなくなった今、もしかしたら今が最も作家になるハードルが低い時代なのかもしれません。

実際、今年は「受賞作なし」という結果に終わった新人賞が多かった。

江戸川乱歩賞横溝正史ミステリ大賞、新潮ミステリー大賞、みんな受賞作なし。

投稿者のレベルが下がっている証拠です。

ちなみにこの三賞、全部ミステリーの賞なんですよね。

特にミステリー投稿者のレベルが低下しているということなんでしょうか。

もちろん、低いハードルを越えて作家になれたとしても、作家として売れ続けるためのハードルはかつてないほど高いということになるので、おいしい話では全然ないですよね。

だけど、売れるにしろ売れないにしろ、そもそも小説家という土俵に立つことができなければ何も始まらないわけです。

人によっては現状に失望するかもしれませんが、僕は簡単に作家になれる史上空前のチャンス、と捉えたい。

 

 

 デビューまでの最短距離を歩むために

作家になるのは簡単、という事実を踏まえた上で、最小限の努力で夢をつかむための効率的な方法について教えてくれます。

まずは、受賞即デビューとなる出版社主催の長編新人賞に投稿すること。

自分の書く小説に合った新人賞を選び(選び方ももちろん解説しています)、過去の受賞作や選評を見てどんな小説が評価されるのか「傾向と対策」を行うこと。

この辺りは、大学受験と一緒ですね。

そして、投稿するための長編小説を書くための手順について、ページを割いて解説してくれます。

正直、この辺りの具体的な小説作法については、他に良書がたくさんあるので、ある程度長編を書き慣れている人はそちらを読んだ方がためになります。

それよりも印象深かったのが、募集要項に沿った体裁で投稿することの大切さを強調していたことでした。

新人賞は必ず、原稿のレイアウト・制限枚数・原稿の綴じ方・梗概の書き方・締め切り等が設定されています。

だけど、それを守らない投稿者がたくさんいるらしい。

縦書き指定なのに横書きにしたり、制限枚数をオーバーしたり、投稿者の電話番号が抜けていたりと、当然守るべき事柄が守れていない投稿者が数多くいるそうです。

 

編集者は常識やルールを守れない人を本能的に避けます。人間なのですから、当然でしょう。

作品の質はもちろん重要ですが、それ以前に「この先、一緒に仕事をしていくことができないと思われる」人は、意識的、無意識的、どちらにしても排除しようとします。

 

なるほど、小説もビジネスですからね。

常識ある社会人であることをアピールするということが重要ですよね。

これ、当たり前のようでいて、僕はもしかしたら軽んじていたかもしれない。

たいていの場合、小説を書き終えて燃え尽きてしまっているので、応募要項の確認や郵送に至るまでの手続きってあまり神経を注いでいませんでした。

でもそれじゃダメですよね。

反省しました。

 

 

 

 まとめ

  1. 才能あるクリエイターが他の分野に流れている今、作家になるのは簡単だ!
  2. 長編新人賞の受賞を目指そう。傾向と対策をしっかりと行うこと。
  3. プロットをしっかり立て、長編を完成させよう。応募する際は要項をしっかりと守ること。

 

 オススメ度 ★★★★

 小説作法に関する本は数多くあるけれど、「新人賞受賞」に焦点を絞った本は少ない。作家志望者は必読だけど、それ以外の人にとっては需要がなさそう。